SUBSTANCE / PURPOSE 名前ではなく実際の中身で考える
Webサイト制作費には、すべての案件に共通する一つの勘定科目が決められているわけではありません。何を作り、どのように使い、どのような効果が続くのかによって、税務上の扱いを検討します。
見た目が同じWebサイトでも、企業情報を掲載するだけのサイトと、予約や顧客管理を行うサイトでは性質が異なります。そのため、制作前に目的と機能を整理しておくことが重要です。
CURRENT EXPENSE 当期の費用として検討されることが多いもの
企業や商品・サービスを紹介し、集客、採用、営業、広報に利用する一般的なWebサイトは、広告宣伝費などとして処理される可能性があります。
- 会社案内・コーポレートサイト
- 商品・サービス紹介サイト
- 採用サイト
- キャンペーンや問い合わせ獲得のためのランディングページ
- 実績、事例、お知らせなどの情報発信ページ
- 継続的な更新を前提とするコンテンツサイト
ただし、サイトの利用目的、効果が及ぶ期間、契約内容などによって判断が変わるため、「会社案内サイトなら必ず広告宣伝費」と断定することはできません。
SOFTWARE ソフトウェアとして検討されることが多いもの
サイトの中に、情報を処理する独自プログラムや、業務を効率化する仕組みが含まれる場合は、ソフトウェアとして資産計上する可能性があります。
- 会員登録・ログイン機能
- 予約・受付・決済機能
- 顧客情報・案件情報を管理する機能
- 複雑な検索・マッチング機能
- 在庫・基幹・会計など外部システムとの連携
- 独自の見積計算・シミュレーション機能
- 社内承認やワークフロー機能
一般的な自社利用ソフトウェアは、税務上、原則として5年の耐用年数で減価償却する可能性があります。つまり、制作した年度に全額を費用化するのではなく、複数年度に分けて費用化します。
MIXED PROJECT 広告部分とシステム部分が混ざっている場合
「ホームページ制作一式」だけではなく、目的と機能が分かる内訳を残します。
企画・表現・コンテンツ
企画・要件整理、情報設計、画面設計、デザイン、原稿、撮影、HTML・CSS等のページ実装、CMS設定を整理します。
システム・データ・外部サービス
独自プログラム開発、データベース設計、基幹システム連携、サーバー、ドメイン、SaaS、外部アプリなどを整理します。
見積を分けたから自動的に税務処理が決まるわけではありません。しかし、目的と機能が明確になるため、顧問税理士が実態に沿って判断しやすくなります。
ADVANCE PAYMENT 着手金や前払いの注意点
決算前に着手金を支払った場合でも、制作が完了していなければ、支払時点では前払金などとして処理し、完成・納品等の時点で振り替えることがあります。
契約日や支払日だけでなく、次の事実を残すことが重要です。
- 契約書・注文書
- 見積書と制作範囲
- 完成日・納品日
- 検収記録
- 公開日または利用開始日
- 納品物と機能一覧
AFTER LAUNCH 公開後の費用
保守・更新
軽微な修正、監視、バックアップ、サポートなどの保守・運用費は、サービスを受ける期間に対応して費用処理することが一般的です。複数年分を一括払いする場合は、対象期間に応じた処理を確認します。
サーバー・ドメイン・SaaS
レンタルサーバー、ドメイン、Shopify等の月額利用料、外部アプリ利用料などは、初期構築費や独自開発費と分けて整理します。
CHECK WITH ADVISER 税理士へ確認するときに伝えること
- Webサイトの目的
- 一般公開する情報と社内業務機能の範囲
- 独自プログラムの有無
- SaaSや外部サービスの利用範囲
- 制作費とシステム開発費の内訳
- 契約、支払い、納品、検収、公開の予定日
- 公開後の更新・保守方法
参考情報
- 事業目的を確認する
- 広告部分とシステム部分を分ける
- 契約・納品・検収の記録を残す
- 顧問税理士へ実態を伝える