考えるフェーズ
情報設計(IA) ユーザーの検討行動と情報資産を、サイト全体の構造へ整理する。
情報設計(IA)は、サイトマップやメニューを作る前に、ユーザーが何を知り、どう判断し、どのように行動するのかを整理する設計です。
Flying High Works(FHW)では、既存の情報資産、検索行動、運用後の拡張まで含めて、Webサイト全体の構造を考えます。
情報設計はサイトマップ作成ではありません
情報設計(IA:Information Architecture)という言葉を聞くと、
- サイトマップを作ること
- メニュー構成を決めること
- ページの配置を考えること
など、もちろん、これらも情報設計に含まれますが、私たちは、情報設計を単なるページの整理とは考えていません。
情報設計とは、ユーザーが何を知りたくて訪れ、それらに対しどのように応え、どのような行動を促させるのかを整理することだと考えています。
サイトマップやメニュー構成は、その結果として生まれるものだと考えます。
Webサイトの目的は何か
Webサイトには様々な役割があります。
例えば、
- 問い合わせを増やしたい
- 採用応募を増やしたい
- 商品を販売したい
- 認知度を上げたい
- 信頼性を高めたい
などです。
しかし実際には、「問い合わせを増やしたい」という目的の裏にも、
- 何を伝えるべきか
- どのような順番で伝えるべきか
- どこで安心してもらうのか
という設計が必要になります。
私たちは、まずWebサイトの役割や目的を整理するところから始めます。
情報資産を整理する
現在ご相談いただくリニューアル案件では、ゼロからWebサイトを作るケースよりも、すでに多くの情報資産が存在しているWebサイトをリニューアルするというケースがほとんどです。
例えば、
- 実績
- お知らせ
- ブログ
- FAQ
- 商品情報
- 採用情報
など、十分な情報をもっているサイトが多く見受けられます。
つまり、問題は、情報がないことではなく、むしろ、情報が増えすぎて整理できなくなっていることの方が課題であることが多くなっています。
そのため私たちは、まず、サイト全体をクロールして、サイトの情報を集め、どのような情報が存在しているのかを整理し、また、同時に構造的な問題が存在しないかを調査します。
そして、どの情報を残し、また統合し、どんな情報を新しく追加するべきなのかを考え、最終的にサイトマップやページ構造に落とし込んでいきます。
ユーザーはどうやって検討するのか
様々なサイトを見ていて感じるのは、それは本当にユーザー目線なのか?ということです。
リニューアルを検討されている企業では、
- 部署都合による構成
- 組織構造をそのまま反映したメニュー
- 会社が伝えたいことを優先したページ構成
などをよく見かけます。
しかし、情報設計で最も重要なのは、ユーザーがどのような順番で理解していくのかを考えることだと私たちは考えています。
私たちは、ユーザーの検討行動には、「課題の認知・発見 → 課題の調査・理解 → 比較検討 → 信頼確認 → 行動」という流れがあると考えています。
もちろん、すべてのユーザーが同じ順番で行動するわけではありません。最初から問い合わせを行うユーザーもいますし、企業の信頼性を確認したいユーザーもいます。
しかし、そのようなユーザーも、他サイトや現サイトなどで既に検討を進めており、その続きの段階として訪問していると考えることもできます。
そのため私たちは、ユーザーが何を知りたいのかだけではなく、どの順番で理解するのかを考え、サイト全体としての検討行動の流れに沿っているかという点を重視し、情報を整理・配置していきます。
情報設計における検討行動例
業種によって検討内容は異なりますが、私たちはユーザーの検討行動には一定のパターンがあると考え、検討段階に沿って、サイトを構成していきます。
① 課題の認知・発見
ふんわりした現状が課題に変わる段階
- 問い合わせが減っている
- スマホで見づらい
- 更新しづらい など
→ FAQやよくあるケースを見て自分ゴト化する
② 課題の調査・理解
課題が具体化する段階
- 実績が埋もれている
- CMSが古い
- 採用情報が弱い
- SEOが落ちている など
→ 事例や解決方法で課題は何かを把握する
③ 比較検討
行動を起こすことを考え始める段階
- CMSを変更するべきか
- 採用サイトを強化するべきか
- SEOを見直すべきか など
→ 解決方法や依頼先の候補を比較する
④ 信頼確認
行動を起こす前の確認
- 本当に任せて大丈夫か
- 信頼できそうか
- 保守はどうか など
→ 会社情報や実績、お客様の声などを確認
⑤行動
具体的に決断や行動する
- メール問い合わせ
- 電話問い合わせ
- 資料請求 など
→ お問い合わせフォームなど
検索行動は変化している
AI検索が登場するまでの検索行動は、キーワードによる検索が中心でした。
例えば、
- ホームページ制作会社
- WordPress制作
- 採用サイト制作
のような検索です。
一方で近年は、AI検索や自然文検索の普及により、より具体的な検索が増えています。
例えば、
- 会員サイトを構築できるホームページ制作会社
- WordPressからLaravelへ移行したい
- 検索機能が強い制作会社を探している
といった検索へと変化しており、実に検索ユーザーの4人に一人がAI検索を行っているといわれています。
ユーザーが全体の23.9%に上った。およそ4人に1人が、Webサイトを訪問することなく、AI検索だけで検索行動を完結させていることになる。
出典:Web担当者Forum
つまり、Webサイトの役割は、見られるだけでなく、情報が引用されることが重要になってきているといえます。
しかし、GoogleはAIモードを登場させたにもかかわらず、旧来の検索も維持しています。つまり、上記の通り、そこにはユーザーの相変わらずのニーズも存在しているからです。
例えば、会社名や商品名など、明確な答えを探している場合には、従来の検索の方が効率的ですし、比較検討や調査の段階では、AI検索が利用されるケースが多いと思います。
つまり、現在は検索方法が置き換わっているのではなく、検索に頼る状況が増えている状態だと考えられます。
そして、どちらにしても、ユーザーが知りたいことを探しているという本質は変わっていません。
AI検索になってもSEOはなくならない
AI検索が広がったことで、SEOが不要になるのでは?という話を耳にすることがありますが、私たちはそうは考えてはいません。
なぜなら、ユーザーは、求めるものを探すために言葉をテキストにして、検索行動に移るという行為は変わっていないからです。
例えば、具体的な会社名やサービス名がわかっている場合には、AI検索よりも、従来の検索の方が圧倒的に便利です。一方で、比較検討や調査の段階では、AI検索の方が広く答えを拾えるという意味で、優位です。
つまり、現在は、
- 従来の検索
- AI検索
の両方を意識していく段階にあります。
そのため、検索エンジンだけではなく、AIにも伝わる情報設計が重要になってきます。
E-E-A-Tという考え方
Googleでは、
- Experience(経験)
- Expertise(専門性)
- Authoritativeness(権威性)
- Trustworthiness(信頼性)
を重視しているといっており、E-E-A-Tと呼ばれます。
E-E-A-T 自体はランキングに直接影響する要因ではありませんが、E-E-A-T が優れているコンテンツを特定できる要素の組み合わせを使用することは有効です。
引用:Google 検索セントラル
つまり、E-E-A-Tは、個別の施策ではなく、どこを重視するか、どうバランスをとるか、の指標として重要といえます。
例えば、
- 実績ページ
- 会社情報
- 代表者情報
- FAQ
- 専門コンテンツ
などを適切に配置した結果として、E-E-A-Tが伝わります。
E-E-A-Tはサイト全体を俯瞰するための物差しであり、情報設計はそのための手段のひとつだと考えています。
情報設計は検索だけのためではない
情報設計は、単にSEO効果を狙うための作業ではなく、実際に利用するユーザーのために行う設計です。
検索エンジンは、ユーザーにとって価値のあるページを評価します。ユーザーに、よく利用され、滞在され、再訪を繰り返される、そういった行動がそのページの価値として評価されるのです。
そのため、検索エンジン向けの設計と、ユーザー向けの設計は、分けて考えるのではなく、ユーザーに向けた設計が、結果、検索エンジンに向けた設計ということができます。
いまや、旧来の検索では、一ページ目に登場しない限り、ほとんどユーザーに届かないと考えてよいと思います。
だからといって、キーワードを中心としたページ設計をあきらめるのではなく、いかにそのキーワードに対し、そのページの専門性や情報密度が高いのか、どれだけ答えにちかいのか、そういったことを意識してページを構成していく必要があります。
その結果、引用され、訪問され、問い合わせにつながることを目指す、それが重要だと考えます。
情報設計は公開後にも影響がある
Webサイトは運用を続けることで、記事や実績などのコンテンツは増加していきます。
公開時には整理されていたサイトも、数年後には情報量が増え、どこに何を掲載すべきか判断しづらくなることがあります。
そのため私たちは、現在の情報を整理するだけではなく、将来どのような情報が増えていくのかという視点も含めて情報設計を行います。
情報設計が適切であれば、新しい情報を追加する際にも、
- どこに配置するべきか
- どの情報と関連するのか
- ユーザーはどこから辿り着くのか
を判断しやすくなります。
つまり、情報設計とは現在のサイトを整理するためだけではなく、将来増えていく情報を整理し続けるための土台でもあります。
そして、その考え方は、
- CMSの選定
- カテゴリ設計
- 検索機能の設計
- URL設計
などにもつながっていきます。
Flying High Worksの考え方
私たちは情報設計を単にサイトマップ作成やメニュー設計だけで終わりません。
情報設計では
- ユーザー理解
- 検索行動理解
- 情報資産整理
- 運用設計
を含めた全体設計として捉えています。
現在のWebサイトがおかれている状況は、従来の検索とAI検索の双方に必要とされることが重要です。
そのため、検索エンジンだけ、AI検索だけを見るのでもなく、ユーザーがどのように理解し、どのように比較し、どのように行動するのかを考えることが重要です。
現在ご相談いただくリニューアル案件の多くは、情報が不足しているのではなく、情報が増えすぎて整理できなくなっている状態です。
私たちは、単に情報を増やすことを考える前に、企業が持つ情報資産をユーザーへ伝わる形に整理し、将来も運用できる状態を作ることこそが、情報設計の役割だと考えています。